プランツカタログ
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172P01然に関わる仕事がしたい、そう考えて最初に就いたのは気象関係の仕事でした。でも、天気予報をしていても、実際に自然に触れる機会はなかなかなくて、もっと直接的に自然に関わりたいという気持ちが強くなり、街に緑を増やす仕事がいいと思い付いたんです。それで東京の造園会社に転職したのですが、そこの仕事が庭だけでなく、外構など家の外まわり全体の設計だったので、私には初めから庭と外構という区別はありませんでした。ただ、家の外を植物で心地よくできたらいいと考えていました。数年、東京でその仕事をしていて、ふと気づいたんです。関東地方の乾燥した気候は、湿気の多い京都で生まれ育った私の肌に合わないと。京都の湿度の高さは本当にすごいんです。一年中じめじめしていて、暑い夏はまるで蒸し風呂に入っているかのよう。でも、それが私の肌には自然になじんで落ち着くんです。植物もその土地の気候風土に適したものを選ぶことがいちばんのポイントですよね。人間も同じなのだなぁと感じました。それで京都に戻り、独立して庭と外構の設計・施工の仕事を始めました。私の中には子どもの頃から見慣れている京都の風景が焼き付いているのだと思います。じめじめしているから、そこここで青々したコケが映えているのですが、その風景が私はとても好き。大学生のときに訪ねた嵯峨野の祇ぎおうじ王寺の庭を見たときの感動はいまでも忘れられません。なめらかなコケが緑の絨毯のように広がり、そこに竹と楓が絶妙のバランスで立ち並ぶ静謐な空間。それはいまでも私の庭づくりの原風景になっていると思います。尾瀬の湿原を訪ねたときも心に沁み入るものがあったので、やはり水がある場所が私には心地がいいのでしょうね。家の外まわりに植物を植え込むというのは、結果として街に緑を増やしていくことにつながると考えています。この仕事を続けていくうちに、なくなりつつある里山の景色を街の中に再現できるのではないかと密かに企んでいます。自を形にする仕事3File:右ページ下の写真のB邸のデザインイメージ画。山田さんが描くデザイン画には、山田さんが好きなしっとり感がよく表れている。京都市の郊外、嵯峨野にある祇王寺の庭。竹林と楓に囲まれた美しい庭は、平家物語にも登場するほど歴史がある。あおい京都生まれ。大学卒業後、京都気象台に勤務の後、関東の気象会社に転職。気象予報士の資格を取り、主に天気予報の番組制作に関わる。その後、植物に直接関わる仕事をしたいと考え、建築の専門学校に通いながら、造園設計会社でアルバイト。東京の造園会社に就職し、個人邸の外まわりの設計に携わる。現場管理、積算管理も自分で行う。京都に戻り、地元の会社で設計の仕事を続けた後、独立。現在は地元の工務店と提携し、京都から滋賀エリアを中心に外まわりのデザイン設計を受け持つ。里山のような風景を望んでくれるお客さまとの出会いを楽しみに待っている。100年前、当たり前のようにあった里山の風景を街の中で再現したい!
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